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特集

特別座談会
今井康福島競馬場場長をお迎えして

今年3月より新場長に就任した今井康福島競馬場場長をお迎えして、
これからの福島競馬を盛り上げるために、
本会と競馬会ができること、協力していくべきことなどを、
本会会長と広報委員会を交えてお話を伺った。

福島競馬場場長 今井康(前列右) 本会会長 伊東純一(前列左) 本会広報委員長 宮川純造(後列左) 本会広報委員 半澤一磨(後列右)

競馬文化が根づき理解のある土地柄

宮川純造本会広報委員長(以下、宮川

まずは今井場長より、場長として就任されてから改めて感じた福島の印象をお聞かせ願えますか?

今井康福島競馬場場長(以下、今井

諸先輩から伺っていた通り、行政も含めて、競馬に関してとても理解のあるところだと感じています。実にやりやすい環境ですね。

伊東純一本会会長(以下、伊東

福島は昔からそうです。競馬場が市の街中にあるので、日常に競馬が溶け込んでいます。たとえば、銀行などにお勤めの方は福島市に転勤されてきてから初めて競馬を覚える方が多い。なぜかというと、週末を終えて月曜日にお得意様を回ると「昨日儲かったかい?」というのがあいさつ代わりの会話になるような土地柄だからなんです。
職場で競馬の話をしても大目に見てもらえるという話も聞きます。福島ならしょうがないと(笑)。

半澤一磨本会広報委員(以下、半沢

学校の授業参観で、後ろで見ている父親が競馬新聞を持っているなんていうのは普通の光景ですからね。午前中に馬券を買ってきて午後に参加するという(笑)。

今井

タクシーに乗っても運転手さんが競馬の開催日程を全部把握していたり、役所関係で競馬の話をしてもお咎めなしなんていう土地柄は珍しい。

伊東

JRAの競馬場は全国に10場ありますが、福島には昭和28年に福島競馬および福島市の観光の発展と振興を目的として福島競馬振興会が設立され、歴代の福島市長が会長を務めております。そういう意味でも他にはない仕組みができ上がっているといえます。

半澤

市の真ん中にありますから、競馬場の近くには学校がいっぱいあります。子供の頃から遠足や父親に連れられて競馬場に来る機会がある方も少なくないので、子供のころから競馬に慣れ親しむ環境があります。

宮川

わたしは福島市が地元なので、昔からそういう雰囲気は感じていましたね。飲み屋さんなどの飲食店でも開催時は厩務員さんや競馬関係者のお客さんが多かったですから。

伊東

ただ、最近はそういった風景も少なくなりましたよね。近年は交通の便がよくなりすぎて、滞在競馬をしなくなった。

今井

現在、滞在競馬をしているのは北海道の2場だけです。

伊東

トレセンができるもっと前では福島で調教をしている馬もいたと聞きます。

今井

競走馬診療所があり、獣医師が常勤でいた時代もありました。

宮川

滞在競馬をやっている時代には、わたしも朝5時に父親に連れられて調教を観に行ったこともありました。

半澤

お客さんも東北新幹線ができてからは、日帰りの方が多くなりました。昔は、昼は競馬で、終わったら飯坂温泉で一泊というのが多かったですがね。特急電車でも3時間以上かかっていたので。

多くの方に競馬の魅力を伝えるために

宮川

2011年の東日本大震災では、福島競馬場も大きな被害を受けました。その後、スタンドの改修作業、馬場の張り替えなどを行いましたが、現在、その後遺症というのはないと考えていいのでしょうか?

今井

施設面ではまったくありません。最近でも話題になった風評被害というのも、福島は地元のお客さんが多いので、競馬で直接感じたということはありませんね。遠方の方には震災以前どおり、普通にお越しになってもらえればと思います。

半澤

ただ、風評被害によって、旅館の予約をキャンセルされたという話もあり、実害を被った方もいらっしゃいます。それに、被害を受けた側の精神的なダメージもありますので、無責任な報道や言動はやめてほしいですね。

今井

馬券の売り上げとしては、ほぼ震災前の水準に戻っています。

宮川

場長に就任されてから初めての開催である1回福島を終えられました。

宮川

場長に就任されてから初めての開催である1回福島を終えられました。

今井

全6日間の開催をすべて良馬場で行えたことは幸いでした。また、わたしが就任する前に企画されていたことではありますが、各種イベントによって、非常に多くの来場者があったことはよかったと思います。

半澤

4月20日の「ふなっしートークショー&記念撮影会」はずいぶん好評だったようですね。

今井

正直、わたしはどれほどお客さんが来場されるのか予想できませんでしたが、思っていた以上にたくさんの方に来ていただけました。同日に開催していた阪神よりも来場者が多いのではないかという時間帯もありました。実際は少し負けてしまいましたが。(※広報委員会注:福島は1万7689名、阪神は1万8002名)。この日は子供だけで3000名ほどの来場がありました。

伊東

わたしは、近隣の学校や施設に招待申し上げて、子供にもっと競馬を観に来てもらうべきだと思います。未来の競馬ファンの予備軍ですからね。半澤

半澤

競馬場が想像以上に大きくて、きれいだという印象をもっていただけると思いますよ。

今井

いまは子供たちが安全に遊べる場所が少なくなっています。そういう意味でも、開催日でなくともいいから、例えば馬場内広場を開放して、授業の1時限だけでも思いっきり遊んでもらうなど、そういったことも考えられます。実際、保育園の園児達にご利用していただいたこともあります。また、競馬場にはミニチュアホースがいるので、学校などの施設に訪問のご依頼があれば、お受け出来るのではないかと考えています。

伊東

競馬場という立派な施設が街中にある。土日以外はもっと一般に開放してもいいのではないでしょうか。例えば今年はサッカーのワールドカップが開催されますが、ターフビジョンで中継して、競馬場で大きな声を上げて応援してもらえばいい。それで足を運んでもらって、競馬場の素晴らしさを感じとってほしい。それが競馬開催の日にも来てみようかな、ということに繋がるのではないでしょうか。

半澤

香港のハッピーバレー競馬場の内馬場にはフットサルのコートがあったり、ジョギングができることもあるようですよ。

今井

実際に実施するとなると、クリアにしなければならない問題が出てくると思いますが、そういったご提案はありがたいです。競馬場の施設をどう有効活用するかは競馬会全体の問題だと考えています。現在では、数年前から毎年8月に競馬場で花火大会を行っています。

半澤

競馬会の主催ではないですが、2012年の10月には「全国餃子サミット&餃子万博inふくしま」の会場にもなりました。

宮川

昨年の6月には「東北六魂祭」がすぐ近くで開催され、その際には競馬場を開放しました。両方ともすごい人出でした。馬主協会としても競馬会としても、今後もどういった形であれ、競馬場に足を運んでいただくためのきっかけづくりをしていくことが必要だというのは共通した認識だということですね。

今井

夏、秋の開催も継続して競馬場に足を運んでいただくためのイベントを企画する予定です。イベント目当で来場される方も競馬場と競馬そのものの良さをわかっていただくことが一番大事だとは思います。競馬場に足を運ぶことが一過性のものではなく、継続したものになるのが望ましいですね。競馬関連では、JRA60周年記念の一環として全場で行なわれる記念競走が福島は七夕賞当日(7月13日)に行なわれます。ひとつ前の第10レースで、レース名は公募によって決まった「韋駄天 ツインターボカップ」です。

伊東

60周年記念に関しては馬主協会ではまだ何も取り組んでいませんが、2012年の復興祈念競馬で復興祈念ブルゾンを制作しました。今回も要請があればいつでも取り組む準備はできています。

今井

馬主協会にはいつも各種イベントに協賛いただいています。1回福島でも馬主席に一般の方を招待されました。その方たちにはレースの表彰式にプレゼンターとして参加していただいています。

伊東

これは以前から継続して行っています。他場でも行っているところがありますが、発祥は福島なんですよ。電話やネットで応募されてきた方に抽選で毎開催日ごとに25組50名の方を招待しています。その方へのドリンクサービスも行っています

今井

今回はすいぶん遠くからいらっしゃった方もいたようですね。

伊東

また、近年は社会福祉にも力を入れようということで、介護施設にいらっしゃる方を招待しています。さらに、昨年の秋開催と今年の春開催では東日本大震災で被災し、避難施設で暮らす方をご招待しました。もちろん、こういったことを行うために必要な競馬場側の支援もいただいています。いまだに非常に窮屈な生活を強いられている方がおられます。そういった方々に競馬場にいる間は楽しい思いをしていただきたいですね。

宮川

最後に場長より、今後の抱負をいただきたいと思います。

今井

大それたことを言うつもりはありません。普通の状態で競馬を開催して、普通の状態で競馬場に来ていただけるよう、準備を整えておくことが大事だと思っています。伊東会長もおっしゃっていましたが、まだ、通常の暮らしがままならない方もいらっしゃいます。そういった方々が気分転換に、「競馬場でも行ってみようかな」と思われた時に、しっかりお迎えしたい。個人的には今は馬券売り上げのアップを遮二無二に目指す状況ではないと思います。皆さんに安心して競馬を楽しんでいただく憩いの場としての環境づくりを、職員一同団結して、また、馬主協会や様々な方からの協力をいただきながら取り組んでいきたいと思います。

伊東

馬主協会から競馬会にお願いを申し上げると、お客さんを呼べるレース、可能ならばGⅡのレースを作っていただきたい。福島競馬場は立派なスタンドはありますが、競馬をする馬場は小さい。これを変えることは難しいですが、やはり興行として魅力あるものを開催することは重要だと思います。もちろん、今でも小回りで独特の福島競馬の魅力はありますがね。

宮川

ゆるキャラを呼ぶようなイベントもいいですが、競馬そのものの魅力を伝える正攻法の施策も必要だということですね。皆さん、本日はお忙しい中、ありがとうございました。

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