HOME » 特集一覧 » 特集

特集

コロナ禍の経過と日本中央競馬会の取り組み

コロナ禍で、他のスポーツ競技が開催中止や短縮スケジュールを余儀なくされる中、年間スケジュールをほぼすべて消化することができた中央競馬。関係各所でクラスターを発生させることなく乗り切った日本中央競馬会の対応と、トレセン内で行われた予防策をまとめ、対応をレポートする。

2020

1月 6日(月)

中国・武漢で原因不明の肺炎
厚労省が注意喚起

1月14日(火)

WHO 新型コロナウイルスを確認

1月16日(木)

日本国内で初めて感染確認( 武漢に渡航した中国籍の男性)

1月30日(木)

WHO「国際的な緊急事態」を宣言

2月 3日(月)

感染した乗客が確認されたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港

2月13日(木)

国内で初めて感染者死亡。神奈川県に住む80代女性

2月21日(金)

★感染予防について、来場のお客様に対応と協力のお願いを発表

2月25日(火)

Jリーグが中断へ

2月27日(木)

安倍首相、全国すべての小中高校に臨時休校要請の考えを公表

2月27日(木)

★2月29日以降の開催を無観客競馬とすることを発表。また、競馬場、ウインズ、パークウインズ、J-PLACEでの発売・払戻を取り止めることを発表

2月29日(金)

北海道知事が「緊急事態宣言」

3月 9日(月)

プロ野球が開幕延期に

3月11日(水)

選抜高校野球大会が中止に

3月12日(木)

WHOが「パンデミック」表明

3月23日(月)

★ドバイワールドカップデーの開催中止に伴い、JRAでの同開催の勝馬投票券発売取り止めを発表、騎乗予定の騎手の渡航も中止

3月24日(火)

東京五輪・パラリンピック 1年程度延期に
★ドバイワールドカップデーに参加するためアラブ首長国連邦(ドバイ)に渡航した騎手、調教師、厩舎従業員等に対し、帰国日翌日から2週間は、競馬場・トレーニングセンターへ入構しないよう要請
★C.ルメール騎手、古川吉洋騎手は3月25日(水曜)から4月7日(火曜)までの間、競走および調教での騎乗をしないことを発表。

3月28日(土)

国内での感染者がダイヤモンド・プリンセス号以外で114人に。初めて1日100名以上の感染を確認

3月29日(日)

志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で死去

3月30日(月)

★ドバイワールドカップデーに出走予定だった19頭が帰国

4月 1日(水)

安部首相が布マスク2枚 全戸配布を表明

4月 3日(金)

★JRAの本部(東京都港区)に勤務している職員1名が感染判明

4月 4日(木)

東京都の感染者が初めて1日で100人を超える

4月 6日(土)

★JRAの京都競馬場(京都市伏見区)に勤務している職員2名の感染が判明

4月 7日(火)

7都府県に緊急事態宣言 「人の接触 最低7割極力8割削減を」

4月 8日(水)

★競走馬の他ブロック競走への出走制限、競馬開催における騎手の移動制限、「認定調整ルーム」の運用を発表

4月 9日(木)

★JRAの京都競馬場(京都市伏見区)に勤務している職員1名の感染が判明

4月10日(金)

東京、神奈川、埼玉の1都2県で休業要請

4月11日(土)

国内の感染者 1日の人数としてはこれまでで最多の700人超

4月15日(水)

★JRAの本部(東京都港区)に勤務している職員1名の感染が判明
★感染拡大防止の観点から、競走および調教の騎乗自粛を行っていた岩崎翼騎手、川須栄彦騎手、藤懸貴志騎手は、健康状態に異常がなかったことから既に調教騎乗を再開し、4月18日(土曜)から競走への騎乗も可能になったことを発表

4月16日(木)

「緊急事態宣言」全国に拡大 、13都道府県は「特定警戒都道府県」に。政府が全国民に一律10万円を給付する調整を始める

4月21日(火)

★令和2年度秋季競馬学校厩務員課程の入学試験の日程が変更に

5月 1日(金)

持続化給付金、申請受付を開始

5月 4日(月)

政府「緊急事態宣言」5月31日まで延長

5月11日(月)

★6月に予定されていた騎手課程入試説明会の中止を発表

5月14日(木)

政府緊急事態宣言39県で解除、8都道府県は継続

5月20日(水)

「夏の全国高校野球」戦後初の中止決定

5月21日(木)

緊急事態宣言、関西は解除、首都圏と北海道は継続

5月24日(日)

★8月末開催予定の「2020ワールドオールスタージョッキーズ」中止を発表

5月25日(月)

緊急事態の解除宣言、約1か月半ぶりに全国で解除

5月28日(木)

★4月中旬から実施の「競走馬の出走制限」「騎手の移動制限」「認定調整ルームの運用」については、5月31日(日)までの適用とし、 6月1日(月)からは実施しないことを発表

6月 2日(火)

初の「東京アラート」 、都民に警戒呼びかけ

6月12日(金)

★4月7日(火)以降、取り止めていた地方競馬との交流競走の一部を6月29日(月)から再開することを発表

6月14日(日)

★2019年12月28日(土曜)から2020年2月23日(祝日・日曜)の間の勝馬投票券の払戻有効期限の延長を発表

6月19日(金)

都道府県にまたぐ移動の自粛要請を緩和 プロ野球が再開

6月22日(月)

★感染症対策への支援として宝塚記念(GⅠ)当日の売上げから50億円(後日55億円に増額)を拠出することを発表

6月26日(金)

5月9日以来、全国の感染者が100人超え

6月27日(土)

Jリーグ再開

7月 2日(木)

5月2日以来、東京都内の感染者が100人超え

7月 6日(月)

★7月11日(土)から一部のウインズおよびJ-PLACEにおいて、発売内容・営業時間を制限して「発売・払戻」を再開することを発表

7月 9日(木)

東京都 224人の感染確認200人超は約3か月ぶり

7月18日(土)

世界の死者 60万人超える

7月22日(木)

「Go Toトラベル」キャンペーン始まるも、東京都は除外
国内の1日の感染者 795人、過去最多

7月23日(金)

東京都の1日の感染者366人、 過去最多

7月28日(火)

国内の死者1000人超える(クルーズ船除く)

7月29日(水)

国内の1日の感染者が初めて1000人を超える
岩手県で初の感染確認

8月 1日(土)

各自治体独自の休業要請始まる

8月 8日(土)

★第3回新潟競馬(8月15日~9月6日)における新潟競馬場への観客入場再開が中止に

8月11日(火)

世界の感染者2000万人を超える

8月15日(土)

ヨーロッパで感染再拡大受けた措置相次ぐ

8月28日(土)

医療提供体制の確保、検査体制、ワクチン提供数の確保など政府が新型コロナ対策の新たな方針発表
安部首相が辞意を表明

9月7日(月)

★感染症対策への支援として、宝塚記念(GⅠ)当日の売上げからの拠出等に加え、9月21日(祝日・月曜)JRAアニバーサリー当日の売上げから「30億円」を拠出することを発表

9月11日(金)

プロスポーツや映画館などの人数制限を解除決定

9月14日(金)

★9月19日(土)から、J-PLACE笠松、恵那、鳥栖においても発売を再開することを発表
自民党総裁に菅氏が選出、16日菅内閣発足

9月23日(水)

海外からの入国緩和を発表

9月30日(水)

★第4回東京競馬、第4回京都競馬、第4回新潟競馬で指定席券購入限定で、観客の入場を再開することを発表

10月 1日(木)

「Go Toトラベル」に東京都が追加

10月 2日(金)

トランプ米国大統領が新型コロナウイルスに感染

10月 4日(日)

★10月10日(土曜)から、パークウインズ中山および中京で、10月11日(日曜)から、J-PLACE船橋で営業を再開、一部のパークウインズ・ウインズ等で「各競馬場の全レースおよび前日発売レース」に変更する事を発表

10月14日(水)

フランスが3か月ぶりに非常事態を宣言、ヨーロッパで感染再拡大

10月21日(水)

JRA東日本、終電繰り上げを明らかにする。

10月29日(木)

国内感染者10万人超に

11月 5日(木)

1週間に国内のクラスターが100件超、前週の1.6倍、9月以降最多

11月 8日(日)

米国大統領選挙、バイデン氏の勝利が確実に

11月 9日(月)

★感染症対策への支援としてJRAアニバーサリー当日(9月21日(祝・月)の勝馬投票券の売上げから30億円を拠出することを発表

11月10日(火)

政府分科会が緊急提言「急速な感染拡大の可能性も」

11月18日(水)

国内感染者数が過去最多の2201人に、東京も過去最多の493人で感染状況を最高レベルに引き上げへ
日本医師会の中川会長 「Go Toトラベル」と感染「間違いなく十分に関与」

11月19日(木)

世界感染者5000万人超、最多はアメリカの1000万人

11月25日(水)

西村経済再生相「この3週間が勝負」新型コロナ対策強化方針示す

11月26日(木)

★美浦トレーニング・センターで厩舎従業員1名の感染が判明

12月 2日(木)

英政府、米ファイザー社が開発した新型コロナウイルス感染症のワクチンを承認

12月 3日(木)

大阪府が「医療非常事態宣言」 重症患者の急増で不要不急の外出自粛も要請

12月12日(土)

全国の感染者が初の3000人超え

12月14日(月)

「Go Toトラベル」全国一時停止へ、地域限定の対応から方針転換

12月18日(金)

米ファイザー社の新型コロナワクチンについて厚労省が2月下旬の接種開始準備を指示

12月20日(日)

英で変種拡大のため外出制限

12月25日(金)

変異種の感染者が国内で初めて確認

12月26日(土)

全世界からの外国人の新規入国 28日から1月末まで停止

12月31日(木)

新型コロナ 東京都で1337人、全国で4520人の感染確認、ともに過去最多

2021

1月 2日(土)

1都3県が政府に「緊急事態宣言」発出検討を要請 西村大臣「国として受け止め検討」

1月 7日(木)

菅首相1都3県に緊急事態宣言、緊急事態宣言受け東京都「緊急事態措置」決定多

1月 5日(火)

★1月9日(土)~11日(祝・月)の中山競馬場は無観客競馬に、また一部のパークウインズ、ウインズ、ライトウインズ、エクセル、J-PLACEでの勝馬投票券の発売中止とすることを発表

1月 9日(土)

★1月16日(土曜)以降の首都圏における競馬開催を当面の間、無観客競馬とすることを発表。あわせて、首都圏のウインズ等についても、当面の間、勝馬投票券の発売を行わないことを発表

1月13日(水)

7府県にも緊急事態宣言 合わせて11都府県、外国人の入国を全面停止

1月14日(木)

★千葉県、東京都に加え、愛知県、兵庫県、福岡県における競馬開催も、当面の間、無観客競馬として実施することを発表、主なウインズ等の馬券発売中止も発表

1月19日(火)

国内での死者が初めて100人を超える

1月20日(水)

★栗東トレーニングセンターの厩舎従業員2名(同一厩舎)の感染が判明、隔離療養措置に

1月27日(水)

世界全体で感染者が1億人超え

2月 2日(火)

緊急事態宣言の一部地域の延長

2月 3日(水)

新たに罰則を導入する改正特別措置法と改正感染症法が成立

2月12日(金)

米ファイザー社製のワクチンが特例承認することを了承、国内で初の実用化ワクチンに

2月17日(水)

新ワクチン接種が医療従事者125人に国内初接種

2月28日(日)

★一部地域において緊急事態宣言が解除されたことを踏まえ、3月6日(土)から競馬場・ウインズ等の営業再開、3月13日(土)からの阪神競馬場・中京競馬場の指定席券購入限定で、観客の入場を再開を発表。

3月 3日(水)

菅義偉首相が埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言を2週間程度再延長する意向を表明

徹底された感染拡大予防トレセン・レポート

馬主協会はいち早く 入場制限を実施した

昨年の初春、中国に端を発した"新型コロナウイルス"によって、全世界がパニックに陥ってしまった。
感染拡大により、世界中で大切な命が奪われてしまい、その予防のために、国家間の往来が規制され、人間同士がマスクなしで接することが御法度とされ、世界中で不自由な生活、経済活動を強いられてしまっている。
そんな目に見えないウイルスとの戦いは、我々競馬サークルにも無観客開催など、大きな影響を及ぼしている。
しかしながら、そのような状況のなかでも、競馬開催が中止されることなく続行されてきていることに、多くの関係者が感謝の言葉を口にする。
そこには、騎手や厩舎関係者、日本中央競馬会の職員の方々、そして皆さん馬主の方々による、現場での徹底的な感染防止策があったからこそである。
昨年、感染拡大が報じられる直前には馬主会から"馬主の現地での観戦を原則禁止"と素早い反応があった。さらには、競馬場やトレセンに出入りをするマスコミなど多くの方々に対しても、入場を規制をするようにと日本中央競馬会に対して要望を出し、それを受ける形で制限が行われた。
ただ、そのような迅速な対応があっても、日本中央競馬会の職員に感染が確認され、その濃厚接触者として関西所属の騎手3名が2週間の隔離、さらには美浦では厩舎スタッフが陽性となる事案も発生した。
その際に、日本中央競馬会がみせた対応の素早さとその対策について、トレセンの現場では「あれが基本になっているから、僅かな感染者で済んでいるし、いまでも水際で食い止められている」と言われている。
ある調教師は「どこかの厩舎のスタッフが体調不良を訴えたことを受けて、その厩舎のスタッフに対しての検査はもちろんですが、その厩舎の調教時間を早くすることで対応しました。ちょうど海外への出国検疫に入っている馬たちがいて、それらが調教する前の時間に行うことで、他の厩舎のスタッフたちとの隔離ができた状態となり、調教が滞ることなく行うことができました」と話す。
陽性の可能性があった厩舎スタッフは、後に陰性であることが判明するとすぐに通常の調教時間に戻されることとなったが、その後に別の厩舎スタッフの感染が確認されたときには、さらに迅速な対応が取られたようだ。
事情を知る調教師は「感染の可能性があると知った厩舎スタッフは、すぐに自ら調教師に報告。その報告を受けた日本中央競馬会はすぐにPCR検査を受けるように伝えると、陽性反応となりました。それを受け、厩舎スタッフなど接触者の検査を行うと同時に、翌朝の調教からその厩舎だけ早い時間で行うことで接触を制限しました。結果的にはこの対応策が功を奏し、他への感染は確認されることはありませんでした。このときの対応について、管轄の保健所から『素早く、そして適切な対応は本当に素晴らしく、このような対応がされていることで感染拡大を防ぐことができている』との言葉があったと聞いています」と教えてくれた。

現在でも厩舎関係者の努力は続いている

その後、美浦トレセンに隣接する高齢者施設でクラスターが発生した際、厩舎関係者の家族が含まれていたそうだが、この時も同じ対応策が取られ、結果として新たな感染者が確認されることはなく、関係者への感染拡大も防ぐことができたという。
それ以外にも、日常的な業務においても感染、そして拡大の防止に対して様々な取り組みがなされているそうだ。
「我々厩舎スタッフは、昨年より、競馬の臨場、そして出張先でも不要不急の外出は控えるようにという指導を受けています。さらには、騎手たちも移動が制限された時期がありましたが、我々も出張する際に、できる限り人数を制限して、必要最低限の人数での移動ということなど、やはり様々な対応策を取ってきています。中には家のなかでも家族と距離を保った生活をしていたスタッフもいます」
全体的にはもちろんだが、各自がそれぞれに開催続行のために、感染防止策を取っているということだが、マスコミとのやり取りも以前とは様変わりしているようだ。
ある調教師は「以前は厩舎で担当記者たちから出走馬を中心に取材を受けていましたが、密の回避と濃厚接触を回避するために、基本的には電話取材という形となっています」と言う。
世界中の活動すべてを制限してしまったと言っても過言ではない新型コロナウイルス禍は、ワクチン接種に一筋の光が見えたとも言われるが、世界中ではロックダウンされる都市が出るなど、依然として収まる気配はない。
そのなかで、既に入場制限がされて1年が過ぎるなか、馬主の方々も愛馬の出走に立ち会われたいという思いが強くなっているのではないでしょうか。
ただ、お互いの命、そして競馬開催を続けるために、厩舎関係者をはじめ現場では様々な感染防止策が取られており、しっかりと業務が行われておりますので、日常生活が戻るまでもう少しお待ちいただければと思います。

» 他の特集を見る

〒960−8114 福島県福島市松浪町9−23
TEL 024−534−1233 FAX 024−531−5517

ページトップへ